毎年お正月が終わるとちらほらと巷で耳にするようになる確定申告。
毎年欠かさずおこなっている人もいればよくわからずに過ごしている方も多いのではないでしょうか?また、フリーランスになって初めてで帳簿が必要ということを知らなかった方もいるでしょう。
そのなかで「帳簿」というワードを耳にすると思います。帳簿をつけていないと確定申告の際に困ってしまいます。どうして困ってしまうのか、その理由も併せて見ていきましょう。
確定申告で帳簿をつけていないとどうなる?
帳簿をつけていないと記帳義務に反すると判断されます。故意に確定申告するのに帳簿をつけていない場合などは所得隠しなどの不正行為と見なされて重加算税を課されることもあります。
①帳簿をつけていなかった、もしくは紛失してしまった場合
未記入・紛失ともに記帳義務に反することになります。調査に来た税務調査官に正直に包み隠さず現状を伝えましょう。隠してしまうと所得隠しなどあらぬ疑いをかけられてしまいます。現状で残っている書類や領収書、仕訳帳や売上伝票などを用いて現存する範囲内で帳簿を作るだけでも違いますので、現存する資料をかき集めて記帳することをおすすめします。
②帳簿を付けることは義務
確定申告において帳簿の記帳義務はどちらも必要です。
青色申告であっても、白色申告であっても、帳簿づけをしなければなりません。以前は白色申告なら帳簿づけしなくてよかった時期もありましたが、法改正により確定申告で白色申告をする場合においても帳簿をつけることが義務付けられるようになりました。現在は年収関係なく、全ての個人事業主に帳簿付けが義務づけられています。
帳簿をつけていないと、税務調査が厳しいものになったり、余計に税金を払わなくてはいけなくなったりするので要注意です。
これまで帳簿をつけていないという方は、必ず作成するようにしましょう。
確定申告で必要な帳簿とは?
確定申告に必要な帳簿は、確定の仕方や帳簿の付け方によって変わってきます。特に、青色申告の場合、記帳方法が3種類あるので、それぞれの違いを見ながらあなたのつけていないといけない帳簿について調べていきましょう。
白色申告 | 青色申告 | 青色申告 (現金主義) | 青色申告 | |
控除額 | なし | 10万円 | 10万円 | 55万円・65万円 |
簿記の要件 | 簡易簿記 | 簡易簿記 | 簡易簿記 | 正規簿記 |
記帳方法 | 単式簿記 | 単式簿記 | 単式簿記 | 複式簿記 |
会計原則 | 発生主義 | 発生主義 | 現金主義 | 発生主義 |
65万円の控除を受けるためには?
確定申告において65万円の控除を受けるためには、複式簿記で記帳しなければなりません。しかし、簡易簿記と比べて複雑な記帳方法になります。
あなたが青色申告・白色申告のどちらの方法の確定申告をして、どの帳簿をつけていないといけないのか確認しておきましょう。
また、帳簿は税務調査の際に必要になってきます。帳簿をつけていないといけないだけでなく、事業に関わる請求書や仕訳書、領収書は全て捨てずに、一定期間保管しておかなければなりません。申告方法や書類によって、保管期間は異なりますが、長ければ長いほど安心です。税務調査官は、7年分さかのぼって税務調査をすることができるので、青色申告・白色申告どちらの申告方法においても、またどんな種類であっても7年は保存しておきましょう。
帳簿の付け方は?
今はフリーランスという働き方をする人が増えてきていることもあり、確定申告について深く知らない人で帳簿をつけていない方へ向けての便利で簡単に確定申告に必要な帳簿が付けられる会計ソフトが充実しています。しかし、確定申告において最低限必要な帳簿の種類は知っておかなければなりません。もし万が一でもつけていない帳簿を見落とさないためにもしっかり覚えておきましょう。
ここでは代表的な補助簿、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の5種類の帳簿について解説していきます。どの帳簿をつけていないといけないのか一緒に見ていきましょう。
①現金出納帳
確定申告において現金出納帳は、現金の出入りや流れを把握するための帳簿です。現金出納帳の記帳をつけていないと万が一不正があった場合などに発見が遅れてしまうリスクもあります。
まだ現金出納帳の帳簿をつけていない、もしくは白色申告・青色申告のどちらでこの帳簿が必要なのかわからない方はこれから現金出納帳の役割について2つの特徴をご紹介しますのでご覧ください。
1つ目は、日々の現金の出入りを記帳し、経営状態を把握する役割です。「どこで、どんな現金の取引が行われたのか」は確定申告においてもとても重要な内容になります。白色申告・青色申告のどちらにおいてもそれらを可視化することで経営判断の際にも役立ちます。
2つ目に、社内での不正を防止するという役割があります。日々帳簿をつけて、チェックをしていれば、現金出納帳の残高と実際の残高に誤差が見つかった際に、早い段階で不正を見つけることができます。
現金出納帳は、白色申告・青色申告ともに必要になってきます。
②売掛帳
確定申告で必要になる売掛帳は、商品やサービスを売ったものの、まだ代金が支払われていないという状態のときに記帳する帳簿です。こちらの帳簿をつけていないと誰に何を売って誰から料金をいただいていないかがわからなくなってしまうため、漏れることなく記帳しておくことをおすすめします。
確定申告の申告方法が白色申告の場合は売掛帳は任意になります。反対に青色申告の際は、基本的に作成する必要があります。また、次に紹介する買掛帳についても基本的に青色申告ではつけていないといけない帳簿ですので、あわせて覚えておきましょう。
③買掛帳
前述で紹介した売掛帳は、まだ代金が支払われていない状態、つまり後で「もらう」お金を記帳する帳簿のことでした。
それに対しこちらの買掛帳は、後で「払う」お金を記帳する帳簿のことを指します。確定申告において必ず必要になる帳簿になっていますのでここでしっかり詳細を知り、活かしていきましょう。
例えば、取引先から商品やサービスを購入したが、月末にまとめて支払う場合、実際の取引の際に毎回代金を支払っているわけではないので、買掛金が発生し、買掛帳に記帳して記録を残すことになります。この記録をつけていないともし万が一未払いがあった場合見落として取引先にご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんのでしっかり記帳して記録に残し、未払い防止に努めましょう。
確定申告をおこなうなかで売掛帳と買掛帳それぞれの帳簿の役割や違いをしっかり整理して覚えておきましょう。
④経費帳
確定申告において経費帳とは、事業にかかってくるお金のなかで仕入れ以外の項目(例えば、光熱費や水道代、通信費など)についてをページを設けて、記帳していく帳簿です。
経費帳に毎月怠らずに記帳していくことで、どの月に使いすぎているか、使い道は適切かを可視化することができます。経費の使用状況や経営状態を把握する際に、役立ちますのでつけていない方は実際に記帳して現状を把握してみてください。
記帳をつけている場合とつけていない場合とでは現状把握に差が出てきますので今後の経費対策にも活かすことができます。経費帳をしっかり記帳して経費削減に努め、確定申告に臨みましょう。
⑤固定資産台帳
確定申告に必要な帳簿において固定資産台帳とは、事業のために使用している固定資産をどこで使っているのかなどを記帳する帳簿です。
固定資産は、大きく分けて無形固定資産と有形固定資産の2つがあります。
無形資産とは、実体を持たない固定資産のことで、特許権やソフトウェアなどが無形資産になります。こちらは形のないものですので帳簿につけていないとその資産が現在どんな特許を持っているのかなどがわからなくなってしまうこともあるので帳簿に記帳することでしっかり記録を残しておきましょう。
それに対し、実体があるものが有形資産です。代表的なもので、土地や建物などが有形資産として挙げられます。また、固定資産台帳の際に、よく耳にする「減価償却」とは、使用や時間の経過によって、価値が減っていくという考え方です。
車を例にとって考えてみましょう。車は、買ったときの新車の状態が最も価値が高い状態ですが、時間の経過とともに価値がなくなっていきます。300万円で購入したとしたら、毎年その価値は減っていき、中古車として売るときには100万円にまで価値が減っている可能性がありますよね。
この価値が減った分を経費として計上できるのが、減価償却です。そして、減価償却する固定資産を固定資産台帳に記帳していきます。
他にも固定資産台帳で記帳するべき項目は、資産番号、資産区分、資産名称、設置場所、取得年月日、取得価格、耐用年数、減価償却額、償却率、償却方法、帳簿価格などがあります。
会社が保有する固定資産を管理する上で大切になってきます。もしこちらの帳簿をつけていない方のなかで確定申告で必要だという場合は、日々記帳しておくようにしましょう。
白色申告と青色申告の違いは?
確定申告において白色申告と青色申告の最も大きな違いは、税金面でメリットがあるかどうかです。青色申告の場合は、税金控除がありますが、白色申告にはありません。
このように白色申告と青色申告とでは異なる部分もあります。白色申告と青色申告の代表的な違いについて一緒に見ていきましょう。
白色申告 | 青色申告 | 青色申告 | |
控除額 | なし | 10万円 | 55万円・65万円 |
記帳方法 | 単式簿記 | 単式簿記 | 複式簿記 |
保存帳簿 | ・任意帳簿 ・法定帳簿 | ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・経費帳 ・現金出納帳 | ・売掛帳 ・買掛帳 ・固定資産台帳 ・総勘定帳 ・現金出納帳 ・仕訳帳 |
①青色申告のメリットとデメリット
メリットはやはり税金面での優遇から節税ができるという点です。その反面、簿記の知識が必要だったり、帳簿をつけていないといけない項目も多く手間がかかったりするのがデメリットと言えます。
②白色申告のメリットとデメリット
特別な簿記の知識は必要なく、帳簿でつけていないといけない項目が少なく簡単な帳簿づけで済む点がメリットです。その反面、税金面での優遇はありません。
青色申告を利用したい場合は、「青色申告承認申請書」と「開業届」をその年の3月15日までに税務署に届け出なければいけないので、青色申告を考えている方は余裕を持って書類を準備しておきましょう。
まとめ
つけてないといけない帳簿についてや、確定申告での白色申告と青色申告の違いについて紹介しました。
少しでも税負担を減らしたい方は、青色申告がおすすめです。複雑な帳簿づけが必要ですが、今は会計ソフトで簡単に作成することができます。
freeeでは会計ソフトの無料期間も設けられているので、是非気軽に試してみてくださいね。