「そろそろパソコンを買い替えたい」
「業務改善のためにパソコンを買い足したい」
そう考える個人事業主の中には、IT導入補助金が気になっている方もいるのではないでしょうか。
実は2022年度のIT導入補助金では、これまで対象ではなかった「パソコンの購入」が補助対象となりました。
パソコンを購入したい個人事業主にとっては非常に嬉しいニュースですが、補助を受けるためにはいくつかの制限や注意点があります。
IT導入補助金でパソコンを購入したいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、2017年から経済産業省によって導入された制度です。
中小企業や小規模事業者が生産性向上・業務改善のためにITツール(ソフトウェアやクラウドサービス)を導入する際、その経費に対して1/2〜3/4の補助金を受け取ることができます。
この対象者には、個人事業主も含まれています。
2022年(令和4年)IT導入補助金の概要は?
ここからは、個人事業主にとって見逃せない2022年度のIT導入補助金の概要を解説していきます。
IT導入補助金の概要は?|①実施目的
IT導入補助金は、個人事業主を含む中小企業や小規模事業者が、自社の課題に合ったITツールを導入することで生産性向上や業務改善することを目的に制定されました。
2022年度は、事業の継続が困難となるサイバー攻撃の被害を防ぐことや、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することも目的として挙げられています。
IT導入補助金とは?|②補助対象となる個人事業主
IT導入補助金を受けられる対象者は、日本国内で事業を行う中小企業・小規模事業者等です。
中小企業や小規模事業者の定義を満たす個人事業主や士業法人も対象となります。
さらに補助対象として必要になってくるのは、下記のような要件です。
・「gBizIDプライム」を取得していること
・「SECURITY ACTION」の宣言を行っていること
・補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率について、1年後3%以上、3年後9%以上の数値目標を作成すること
・交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が地域別最低賃金以上であること
その他の詳しい要件については、IT導入補助金2022の公式サイトを参照してください。
IT導入補助金とは?|③補助対象のITツール
補助対象となるITツールは、申請する補助金の種類によって異なります。
2022年度は通常枠のほかに「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入類型」「複数社連携IT導入類型」という特別枠が設けられています。
通常枠 | 生産性向上につながるITツール(顧客対応、販売支援、決済、物流、財務、会計、財務など多岐にわたる) |
セキュリティ対策推進枠 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス |
デジタル化基盤導入類型複数社連携IT導入類型 | 会計・受発注・決済・ECに関する機能を搭載したソフトウェア |
これら通常枠や特別枠の内容については、このあと詳しく解説していきます。
IT導入補助金の補助額と種類は?
ここからは、IT導入補助金の補助額と種類(通常枠・特別枠)について具体的に解説していきます。
IT導入補助金の補助額と種類は?|①通常枠【A・B類型】
IT導入補助金の通常枠(A・B類型)では、どちらも生産性向上に関わる幅広いITツールの導入が補助対象となります。
ソフトウェア購入費・最大1年分のクラウド利用料・導入関連費に関して補助を受けることができます。
A類型よりもB類型の方が補助上限額が高く、必要となるプロセス数が多い、賃上げ目標が必須となる等の違いがあります。
通常枠 | ||
A類型 | B類型 | |
補助金申請額 | 30万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
プロセス数 | 1以上 | 4以上 |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
IT導入補助金の補助額と種類は?|②セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、近年中小企業・小規模事業者等においてもサイバー攻撃のリスクが高まっていることを背景に新設された特別枠です。
独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載されているいずれかのサービスについて補助を受けることができます。
最大2年分のサービス利用料が補助対象となっています。
セキュリティ対策推進枠 | |
補助額 | 5万~100万円 |
補助率 | 1/2以内 |
機能要件 | 独立行政法人情報処理推進機構「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス |
賃上げ目標 | 加点 |
IT導入補助金の補助額と種類は?|③デジタル化基盤導入類型
デジタル化基盤導入類型も、2022年度から導入された特別枠です。
個人事業主がパソコンの購入に対する補助金を申請する場合、このデジタル化基盤導入類型を選択することになります。
デジタル化基盤導入類型では、会計・受発注・決済・ECに関する機能を搭載したソフトウェアの導入が補助対象となります。
補助額上限は、会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上であれば5万円~50万円以下(補助率3/4以内)、2機能以内であれば50万円超~350万円(補助率2/3以内)です。
ソフトウェア購入費のほか、クラウド利用費は2年分が補助対象となります。
デジタル化基盤導入類型 | ||
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
上限額・下限額 | 5万円~50万円以下 | 50万円超~350万円 |
機能要件 | 会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上 | 会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上 |
賃上げ目標 | なし | なし |
さらに、パソコンの購入を考える個人事業主が注目すべきポイントは「導入関連費」です。
ソフトウェアの導入関連費としてパソコンやタブレット、プリンター・スキャナーなどのハードウェアを購入する場合、上限として10万円・補助率1/2の補助を受けることができます。
詳しくは「IT導入補助金でパソコンを購入するには?」で解説していきます。
IT導入補助金の補助額と種類は?|④複数社連携IT導入類型
複数社連携IT導入類型は、デジタル化基盤導入枠の一種である特別枠です。
10以上の事業者で構成された事業グループが受けられる補助金のため、単独で申請することはできません。
対象者は下記の通りです。
・商工団体等 (商店街振興組合、商工会議所など)
・当該地域のまちづくり、商業活性化、観光振興等の担い手として事業に取り組むことができる中小企業者又は団体
・複数の中小企業、小規模事業者により形成されるコンソーシアム
地域DXの実現や、生産性の向上を図る取組みに対して、「通常枠(A・B類型)」よりも大きな補助金額での支援が行われます。
「会計・受発注・決済・EC」のソフトウェアなどの基盤導入経費のほか、分析システムなどの消費動向等分析経費、複数社連携のためのITツール導入費、事業グループの会議費、外部専門家への謝金等も対象となります。
IT導入補助金でパソコンを購入するには?
IT導入補助金でパソコンの購入が補助対象となったのは2022年度の大きなポイントです。
パソコン購入の補助が受けられる「デジタル化基盤導入枠」は、補助率が最大3/4と大きい一方、下限は5万円とハードルも低く、個人事業主には大変おすすめです。
この機会を上手く活用できるよう、補助金申請の詳細や注意点などを解説していきます。
IT導入補助金でパソコンを購入するには?|①申請方式
個人事業主がIT導入補助金でパソコン購入を検討しているとき、対象となるのは「デジタル化基盤導入枠」です。
会計・受発注・決済・EC機能を備えたソフトウェアと同時に購入する場合に限り、パソコンやタブレット、プリンター・スキャナーなどのハードウェアの購入に対して補助を受けることができます。
補助額の上限は10万円、補助率は1/2です。(POSレジ・券売機は補助額上限20万円・補助率1/2)
パソコン単体での購入はできないので注意しましょう。
あくまでもソフトウェアを使用する関連費として、パソコンの導入が可能です。
具体的に対象となるソフトウェア(ITツール)はIT導入補助金2022の公式サイトで検索することができますが、個人事業主の中には、そもそもどのようなソフトウェアが自社に必要なのかわからないという方もいるでしょう。
その場合は、公式ページの「業種別 お悩み解決ITツール機能」を参考にするのがおすめです。
IT導入補助金でパソコンを購入するには?|②必要書類
個人事業主がIT導入補助金でパソコンを購入する場合の必要書類は下記の通りです。
・本人確認書類(運転免許証または運転経歴証明書または住民票)
・所得税の納税証明書(その1またはその2)
・所得税確定申告書B
また、納税証明書や確定申告書が旧姓の場合は、旧姓と現在の氏名が確認できる書類を提出する必要があります。
IT導入補助金でパソコンを購入するには?|③スケジュールは?
IT導入補助金でパソコンを購入する為ためのスケジュールは下記の通りです。
STEP1: IT導入支援事業者の選定
STEP2: ITツールの選択
STEP3:「gBizIDプライム」アカウントの取得
STEP4:「SECURITY ACTION」の宣言
STEP5:IT導入支援事業者と商談を進め、交付申請の事業計画を策定
STEP6:「申請マイページ」を開設し、交付申請を行う
STEP7:事務局から交付決定を受ける
STEP8:ITツールの発注・契約・支払い
STEP9:事業実績報告(ITツールの購入を証明する明細等を提出)
STEP10:補助金の交付
STEP11:事業実施効果の報告
IT導入補助金を受けるためには、IT導入支援事業者の存在が必須となります。
導入したいITツールが決まっている場合は、ツール販売元のITベンダーが支援事業者に認定されていることがあるため、相談するのが近道です。
特に決まっていない場合は、ホームページから検索を行うか、税理士やよろず支援機関、商工会議所などに相談を行ってみるのがよいでしょう。
IT導入補助金でパソコンを購入するには?|③注意点は?
個人事業主がIT導入補助金でパソコンを購入する際の注意点をまとめます。
・パソコン単体では申請できない(認定された会計ツールの導入が必須)
・IT事業者の協力が必須
・申請~採択、採択~補助金交付までのタイムラグを考慮する必要がある
・翌年以降も実績報告を行う必要がある
・必ず採択されるとは限らない(2021年度の採択率は全体で60%程度)
これらの注意点を理解したうえで、自社の課題に合ったITツールの導入を行いましょう。
対象になら申請を!
IT導入補助金2022の種類(通常枠・特別枠)や要件、申請方法について紹介してきました。
2022年度はパソコン等のハードウェアも補助金の対象となり、個人事業主にとって見逃せないチャンスです。事業発展や業務改善のためのソフトウェアを導入するきっかけとしても最適です。
この機会を逃すことがないよう、本記事を参考にぜひアクションを起こしてみてください。